【偽札が人生を変える】ラルジャン【映画・レビュー】

原題:L’ ARGENT
公開日:1983/5/18 フランス
上映時間:83分

おすすめ度 5
マニアック度 5

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友人に借金がある少年は父親に無心するも断られる。友人に相談すると偽札を渡され、店で使用してしまう。この「偽札」が、ある一人の青年の人生を変えてしまう。
 
 

スタッフ・キャスト

監督ロベール・ブレッソン
脚本ロベール・ブレッソン
原作レフ・トルストイ『にせ利札』
製作ジャン=マルク・アンショ
役名役者名日本語吹き替え
Yvonクリスチャン・パティ 
Eliseカロリーヌ・ラング 
Norbertマルク・エルネスト・フルノー 
 

レビュー

全てにおいて必要最低限の構成。音楽は無く、セリフも必要最低限。映像に映し出せれるのは物語と「1983年のフランス」である。その時の「現在」が鮮明に残されている。
役者経験のない人が出演しているので所謂大根芝居ではあるのだが、この映画をリアルに感じさせる一助となっている。感情が乗ってない演技が、この作品の空気を薄暗く色褪せたように感じさせる。
淀川長治氏はこの映画を、「偽札が生む『罪と罰』」と評しているが、まさしくドストエフスキー著「罪と罰」であると感じた。少年は悪と知りつつも欲の為に罪を犯す。青年は誰かの欲に巻き込まれ運命を捻じ曲げられてしまう。人間の悪と希望を映し出しているが、この映画がそれを叫ぶことはなく、まるで水面に広がるの波紋のように静かに訴える。
この作品が配信される可能性は低く、多くの人に観てもらえないのが非常に残念。

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